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胸部X線写真で要精査といわれました

胸部X線写真とは

▲X線は背部から照射され、胸の前にある板で感知します。その板を現像すると胸部X線写真となります。(クリックで拡大)

会社の健康診断や市民健診などで胸部X線(レントゲン)写真を撮る機会があると思います。胸部X線写真とは、X線が背部から照射され、胸の前にある板で感知され、その板を現像したものです。

そもそも、X線 レントゲン写真とはなんでしょうか?
X線はドイツ人のレントゲンによって発見された放射線の一種です。
人の臓器には、X線を通過しやすいもの、しにくいものがあり、それを濃淡の差で表したものが、X線写真です。例えば、骨はX線を通しにくいので白く映り、空気はX線を通しやすいので肺は黒く映ります。
肺炎や肺がんはX線を通しにくいので、正常の肺より白く映ります。

 

本稿の内容は動画でも簡単に説明しています。

胸部異常陰影とは

健康診断の胸部X線写真で要精査とされたとき、黒いはずの肺に白く見える部位があるという場合がほとんどです。

しかし、医師以外の医療従事者や一般の方によく誤解されますが、「白く見える=病気がある」ということではありません。

胸部X線写真を撮る際に、背中から照射されるX線は、様々な密度の臓器を通過します。まず、背中の皮膚を通過し、その後、皮下脂肪、筋肉、骨、肺、血管、そして胸部側の骨、脂肪、皮膚を通過し、最終的に写真となります。

このため、一枚の写真には色々な臓器が重なり合って映り、診断を難しくしています。

 

健診で「異常影あり」とするとき

呼吸器科医であれば、健診の胸部X線写真を評価する経験は何度もあります。左右の肺を見比べたり、他の人のX線写真と比較したりして、少し霧がかかったような部位が1cmでもあれば、E判定(要精査)とします。しかし、それは骨が重なって見えているだけかもしれませんし、血管が重なって見えているだけかも知れません。

呼吸器内科外来には、健康診断で要精査判定だった方が何人も受診されます。しかし、CTで精査してみると、正常だったという方も少なくありません。

健康診断はスクリーニングが目的です。少しでも異常を疑う所見があれば、正常も含めて多くの人をE判定にします。その一部でもよいので、肺がんや肺結核などの病気の人が見つかれば、健康診断として意味があることになるのです。

健診で「異常影」が見つかったら、CTを撮ります

健康診断の胸部X線写真で「異常影」が見つかった場合、CT検査を受けることを勧めます。胸部X線写真で異常影が見つかった場合は、要精査と判定されますが、この段階ではまだ病気かどうかはわかりません。

人間の体は3次元のものであるため、2次元のX線写真だけで正確に観察することは所詮無理があります。

CT検査では、体を1-5mm間隔のスライスにして、100-200枚の断層写真を撮影します。これにより、1枚のX線写真と比較すると診断精度が格段に良くなります。

X線写真で指摘された陰影が、本当に肺の中にあるのか、ただの骨の重なりなのかを、CTで明らかにすることができます。陰影の存在を診断する医療機器として、CTより優れたものは現在ありません。

胸部X線写真で要精査と言われた場合は、迷わずCTを受けることをおすすめします。

 

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