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COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは

次のような症状があれば、
COPD(慢性閉塞性肺疾患)かもしれません

▲COPDの診断に必要な肺機能検査
を行う器械です。スパイロメーター
といいます。(クリックで拡大)

〇セキやタンがいつもでる。

〇最近、息ぎれがひどく、2階まで階段を上れない。

〇20年以上タバコを吸っている。または、大気汚染のひどいところに住んでいる。

 COPDになると、気管支が慢性的に炎症を起こした結果、セキやタンが常にでて、気管支の狭窄により息を上手く吐き出せなくなり、労作時の息切れを自覚するようになります。

COPDって、なに??

 COPDは認知度の低い病気です。GOLD日本委員会の調査によると、日本でCOPDのことを知っているもしくは聞いたことがある方は約25%であり、3年前の30.5%をピークに低下傾向です。

 4人中3人はCOPDという病名を全く聞いたことがないことになります。しかし、COPDは日本人の死因第10位(平成27年 厚生労働省)であり、年間1万5千人がCOPDで亡くなっています。
40歳以上の100人中約9人、530万人の方がCOPDを持っていると推定されています(NICE study, 2001)。

 このように決して珍しい病気ではないのに認知度が低い原因は、我々医療者側にあると思われます。COPDを正しく診断し、患者さんに正しく伝えるという基本姿勢が医療者に今後ますます求められています。

COPDの病態(病気のしくみ)

 COPDを日本語に直すと、慢性閉塞性肺疾患と言います。以前は慢性気管支炎、肺気腫と呼んでいた病気を一つにまとめてCOPDという病名になりました。

 COPDの定義は簡単でかなり明瞭です。呼吸機能検査で一秒率が70%未満であり、可逆性がない(=元に戻らない)ことです。 ちなみに可逆性がある病気が気管支喘息です。

 ロウソクの火を消すときをイメージして下さい。大きく息を吸って、ふうーと息を一気にはきますね。ゆっくり息をはいてもロウソクの火は消えません。COPDの患者さんは一気にはく息のスピードが健康な人よりも遅くなっており、ロウソクの火を消すのが難しくなります。一秒間で肺全体の70%未満の量の息しかはくことができないとき、COPDと呼ぶことに世界中で決まっています。
 COPDの患者さんは、気管支内腔(=空気の通り道)が慢性的に狭くなっています。人間は息を吸って空気を肺に取り込んだのち、肺から気管支、気管を通って外界に空気をはき出します。空気の通り道である気管支が狭くなっていると、空気をはくのに時間がかかります(ストローをくわえて息を全部はくのが大変なのと同じです)。
 COPD患者さんのほぼすべてが喫煙者もしくは元喫煙者です。
 タバコの煙は毎日気管支粘膜に刺激を与え続けるので、気管支粘膜は慢性的に炎症を起こします。毎日起こす炎症を毎日修復するため、気管支粘膜は肥厚し戻らなくなります。その結果として気管支内腔が狭くなり、COPDを発病します。

COPDを治療する目的

 COPDは慢性疾患であるため、根治させるような根本的な治療薬はありません。症状を抑えてQOLを向上させること、増悪の頻度を抑えて病状の進行を抑えること、死亡率を下げることを主眼にして、治療薬が開発されています。

COPD治療の主役は吸入薬:
LAMA、LABA、ICSの3つから選択、組み合わせる

 現在、主に使用されるCOPDの治療薬は3種類の吸入薬です。作用機序がそれぞれ異なり、LAMA(吸入抗コリン薬)、LABA(吸入β2刺激薬)、ICS(吸入ステロイド)と略語で呼ばれます。

 COPDと診断したら、まず投与すべき治療薬はLAMAです。そして、病状の進行にともない、LABA、ICSの順に追加していきます。

 ひとつ以上の薬をそれぞれ別に吸入するのは患者さんにとって負担です。そのため、2つ以上の薬を一つにまとめた薬が各種販売されています。

 LAMA単剤、LABA単剤、LAMAとLABAの合剤、ICSとLABAの合剤が使われてきましたが、最近になってLAMAとLABAとICSの3剤合剤が承認され、日本でも使用できるようになりました。

辛いセキやタン・息切れでお困りの方や、長くタバコを吸っていて肺機能に不安のある方は、お気軽に当院までご相談ください。

院長ブログではCOPDの最新情報を記載しています。
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