長引く咳(慢性咳嗽)
まず、その咳は3週間以上前から続いていますか?
3週間未満と、3週間以上で咳の原因が異なることが、日本呼吸器学会「咳嗽に関するガイドライン」に記載されています。
3週間未満の場合、ウイルスや細菌などの感染症が原因であることが多く、
3週間以上続く場合は咳喘息や胃食道逆流症(逆流性食道炎)、アトピー咳嗽(アレルギー性の咳)などを考える必要がでてきます。
我々呼吸器内科医としても、いつから続く咳なのかを常に念頭において、診断と治療を行っていくことになります。3週間未満の咳については肺炎や肺結核を否定するため胸部レントゲン写真を撮ったり、抗菌薬(抗生物質)や鎮咳薬を処方して治療効果をみます。
抗菌薬で効果がなく、咳が続くときは感染症以外の原因を探っていくことになります。
喘息であれば、呼気一酸化窒素検査(FeNO)を行って、吸入ステロイド薬で治療してみることになります。アトピー 咳嗽であれば抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)、胃食道逆流症であればプロトンポンプ阻害剤(胃酸を抑える薬)を処方し、効果をみます
このように咳の原因は多岐にわたる為、一回の診察ですべてがわかるわけではなく、治療効果をみながら最終的に診断を決定することになります。その間、患者さんには咳で辛い思いをさせてしまうこともあるかもしれませんが、いわゆる咳止め薬で症状を緩和しつつ治療を続けます。