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生活習慣や行動にともなうリスクを無くせば、ガンによる死亡や障害は減らせる可能性:世界疾病負担調査2019の系統的分析

[2022.09.04]

正常細胞の遺伝子に何らかの異常が発生すると、正常細胞がガン細胞に変化します。つまり、ガンは遺伝子の病気です。遺伝子の病気というと、親子で遺伝するのかというのが気になるところですが、遺伝するガンはごく一部で、多くのガンは生まれた後の生活習慣が元になって発生します。

タバコ(喫煙)は最も有名な危険因子ですが、それ以外の生活習慣や環境もガン発生と関連があります。

今回紹介する研究では、行動的リスク、環境的リスク、職業的リスク、代謝的リスクにわけて、何がガンの原因となったかについて全世界で調査しました。

その結果、なんらかのリスク因子に起因して生じたがんによる死亡は、2019年には世界で男女合わせて445万人で、全がん死亡者の44.4%を占めていました。つまり、リスクを避けていれば、約4割のがん死亡は防げていたということになります。

その中でも、喫煙、アルコール摂取、安全性の低い性交渉、食事など行動的リスクによって、ガンによる死亡や障害が引き起こされていました。これらのリスク因子は個人や団体、政府の努力によって減らすことができるものであり、低所得国も含めた国際協調が必要であることが示唆されます。

 

The global burden of cancer attributable to risk factors, 2010–19: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2019
GBD 2019 Cancer Risk Factors Collaborators *
リスク因子に起因するがんの世界的負担、2010-19年:世界疾病負担調査2019の系統的分析

ARTICLES| VOLUME 400, ISSUE 10352, P563-591, AUGUST 20, 2022

DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(22)01438-6


概要


背景

潜在的に修正可能なリスク要因に起因するがんの疾病負担の大きさを理解することは、効果的な予防および軽減戦略を開発するために極めて重要である。我々は、世界中のがん対策計画の取り組みに情報を提供するために、Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study (GBD) 2019の結果を分析した。

方法

行動的、環境的、職業的、代謝的リスク要因に起因するがんの疾病負荷の推定をするために、GBD 2019比較リスク評価の枠組みを使用した。世界がん研究基金の基準に基づいて、合計82のリスク-アウトカムペアを使用した。2019年のがん死亡数および障害調整生存年数(DALY)の推定値と、2010年から2019年のこれらの指標の変化が示されている。

結果

全世界の2019年において、男女合わせて445万人(95%不確実性区間401〜494万)の死亡と1億500万人(9500万〜1億1600万)のDALY、つまり全がん死亡の44.4%(41.3~48.4)、全DALYの42.0%(39.1~45.6)に対し、リスク因子を今回の解析を行った。男性におけるリスク因子に伴うがん死亡は288万人(260〜318万)(男性の全がん死亡の50.6% [47.8~54.1] )、女性におけるリスク因子のともなうがん死亡は158万人 (136~184万) (女性の全がん死亡の36.3% [32.5-41.3] )であった。
2019年において、リスク因子由来のがん死亡、およびリスク由来のがんDALYsについて、男女合計で最も詳細なレベルで世界的に主要なリスク因子は喫煙、次いでアルコール摂取、BMI高値であった。リスク因子由来のがん疾病負担は、世界の地域と社会人口統計指数(SDI)によって異なり、SDIの低い地域では2019年のリスク因子由来がんDALYの主要リスク要因は喫煙、危険なセックス、アルコール摂取の3つであるが、SDIの高い地域のDALYは世界のリスク要因ランキング上位3つを同様であった。2010年から2019年にかけて、世界におけいるリスク因子由来のがん死亡数は20.4%(12.6~28.4)、DALYは16.8%(8.8~25.0%)増加し、代謝リスク(34.7%[27.9~42.8]および33.3%[25.8-42.0])が最大の増加割合となっていた。

解釈

2019年の世界的ながん負荷に寄与する主要なリスク要因は行動内容であり、一方、代謝的リスク要因は2010年から2019年にかけて最大の増加を示していた。これらの修正可能なリスク因子への曝露を減らすことは、世界のがん死亡率およびDALY率を減少させると考えられ、政策を地域のがんリスク因子負担を減らすように適切に作るべきである。


資金提供

ビル&メリンダ・ゲイツ財団

:院長 石本 修 (呼吸器専門医)

 

拙著「その息切れはCOPDです ―危ない「肺の隠れ慢性疾患」を治す!」はこちらから

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