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新型コロナワクチン接種と帯状疱疹発症は関連があるかもしれない(JEADV誌の報告)

[2022.05.29]

毎回聴いているニッポン放送の番組“辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!”の中で、帯状疱疹患者数が最近増加していると紹介されていました。

昨年(2021年)の6月のある日、私(院長)は右背部から胸部にかけて痛みを急に自覚しました。痛みのある部位を鏡で見てみると、少数ながら点状の水疱様発疹を見つけました。これは帯状疱疹だと自己診断し、すぐに薬を飲み始め、1週間程度で痛みは消失し、大事には至りませんでした。帯状疱疹の原因となるようなストレスや病気もなく、変わったことと言えば、発症4週間前に新型コロナワクチンの2回目を接種したことでした。

新型コロナウイルスと何でも結びつけてしまうのはいかがなものかとも思うのですが、自分が実際に経験したことなので気になって調べてみました。コロナワクチンと帯状疱疹に関連がないか論文検索をしたところ、少数例の症例報告が散見される中で比較的多数のコホート研究を見つけたので紹介します。(コホート研究は、臨床研究としてのエビデンスレベルは低めです。)

コロナワクチン接種をした110万人と、接種をしていない110万人のうち、60日以内に帯状疱疹を発症した人はそれぞれ2,200人と1,200人でした。つまり、コロナワクチン接種により、帯状疱疹になるリスクが1.8倍になったという計算になります。

気になるのは、帯状疱疹の発症リスクが上がる原因です。まず、一つ注意しないといけないのは、新型コロナワクチンに限らず、インフルエンザワクチンやA型肝炎ワクチンの接種後でも帯状疱疹が発症した例が報告されていることです。帯状疱疹ウイルス(VZV)が再活性化するメカニズムはまだよくわかっていません。ストレスや高齢、免疫抑制剤の使用、化学療法、放射線療法などが帯状疱疹を誘発するのではないかといわれており、これらに共通するのは免疫力の低下です。ワクチンを接種されると、ヒトの体内においてVZVに対する自然免疫または細胞免疫が一時的に低下することにより、VZVが再活性化し帯状疱疹が惹き起こされるという仮説が立てられています。

世界中で同じワクチンが同時期に何億人という単位で接種された経験は歴史上初めてです。ワクチン接種人数が多いと、稀な副反応であっても症例数が多くなり、話題になるくらい目立つようになったということでしょうか。新型コロナワクチンが、他のワクチンよりも帯状疱疹を起こしやすいかどうかは今後さらなる研究が必要です。

 

100万人以上のCOVID-19ワクチン接種から得られた実臨床エビデンスは、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化と一致している

Real-world evidence from over one million COVID-19 vaccinations is consistent with reactivation of the varicella-zoster virus

J Eur Acad Dermatol Venereol. 2022 Apr 26;10.1111/jdv.18184. 

 DOI: 10.1111/jdv.18184

概要

背景

水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化は、ヒトの帯状疱疹の原因となり、ワクチンによるまれな副反応となりうる。最近、COVID-19ワクチン接種後の症例が報告されている。

目的

本研究の目的は、リアルワールドデータに基づいて、COVID-19ワクチン接種後に帯状疱疹の発生頻度の増加が認められるかを大規模コホートで評価することであった。仮説として、COVID-19ワクチンを接種した対象者(コホートⅠ)と未接種者(コホートⅡ)で帯状疱疹の発生率が有意に高くなると仮定した。方法TriNetXデータベースからワクチン接種者1,095,086人と非接種者16,966,018人の初期コホートを検索し、交絡因子バイアスを軽減するために年齢と性別をマッチングさせた。

結果

マッチング後において、各コホートには1,095,086人の患者が含まれた。ワクチン接種群(コホートⅠ)ではCOVID-19ワクチン接種後60日以内に2,204人が帯状疱疹を発症したのに対し、コホートⅡではそれ以外の理由(つまりワクチン接種以外)でクリニックを受診後60日以内に1,223人が帯状疱疹と診断された。帯状疱疹の発症リスクはコホートⅠで0.20%、コホートⅡで0.11%と算出された。この差は統計学的に極めて有意であった(P < 0.0001; log-rank検定)。リスク比とオッズ比はそれぞれ、1.802(95%信頼区間[CI]=1.680;1.932)および1.804(95%CI=1.682;1.934)であった。

結論

仮説と一致して、COVID-19ワクチン接種後、帯状疱疹の高い発生率が統計的に検出された。したがって、帯状疱疹の発症はCOVID-19ワクチンのまれな副作用である可能性がある。VZV再活性化の分子的根拠はまだ不明であるが、VZV特異的な細胞性免疫の一時的な低下が、ワクチン接種後の帯状疱疹の病理にメカニズム的に関与している可能性がある.なお、VZVの再活性化は、感染症や他のワクチンでも確立された現象である(つまり、この有害事象はCOVID-19に特異的なものではない)。

文責:院長 石本 修 (呼吸器専門医)

 

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