メニュー

毎日10分運動するだけで死亡率が低下するらしい(JAMA誌の報告)

[2022.01.29]

人は何のために運動するのでしょうか。理由は人それぞれだと思いますが、10-20歳代では部活など競技として運動する人が多いでしょう。しかし、40歳を過ぎると、競技として運動する人は少なくなり、趣味として続ける人が多くなるでしょう。そして50歳を過ぎると、健康診断の結果で異常値がでることが多くなり、健康のために運動をする人が増えるのではないでしょうか?

しかし、健康のため、ダイエットのため、血圧を下げるため、コレステロール値を下げるため、という動機付けでは、運動はなかなか長続きしないのではないでしょうか。趣味のように楽しく運動が続けられれば良いのですが、ウォーキングが楽しいかというと、特に私のような運動音痴には当てはまりません。

そんな私でも、「毎日10分間でも運動すれば、10年後の死亡率が下がります」と言われれば、運動しようかなという気になります。

今回紹介する論文は、研究レターという非常に短い報告になりますが、10年という長きにわたる研究であり、興味深いものです。

 

Research Letter 研究レター(短報)

米国成人の身体活動量の増加により予防される死亡者数の推定値

Estimated Number of Deaths Prevented Through Increased Physical Activity Among US Adults

JAMA Intern Med.

Published Online: January 24, 2022. doi:10.1001/jamainternmed.2021.7755

 

これまでの研究から、人口全体の身体活動レベルを上げることで、1年で相当数の死亡を防ぐことができることが示唆されている。しかし、これまでの推定値は、自己報告による身体活動データを使用した簡便なサンプルに依存し、、活動レベルの比較的大きな増加(例えば、1日30分以上)を想定していた。管理可能な量だけ毎日の身体活動を変化させることによる公衆衛生上の効果の可能性はまだわかっていない。本研究では、加速度計の測定値を用いて、(1)米国成人人口ベースのサンプルにおける身体活動と死亡率の関連を調べ、(2)中等度から高度までの身体活動強度(MVPA)を適度に増加させることで年間何人の死亡が予防できるかを推定した。

→加速度計を一人一人つけてもらい、毎日何分動いたかを推計するという方法をとっています。

 

方法

(中略)本研究では、40歳から85歳以上の成人6355人のうち、加速度計のデータがある4840人を評価対象とした。残りの1515人は,モニタリングプロトコルに参加する資格がないか拒否した(853人[13%]),モニターが故障または校正を失った(360人[6%]),モニターデータのある有効日数がない(302人[5%])ため除外された.死亡率の追跡調査は,2015 年 12 月 31 日まで National Death Index linkage を介して完了した.確立されたカットポイント4 以上の加速度計の記録を合計し,8つの身体活動カテゴリー(0~19,20~39,40~59,60~79,80~99,100~119,120~139,または140分/日以上)を作成することでMVPAを推定した。

→40歳以上の成人4,800人が対象。85歳以上の高齢者も含まれています。

身体活動の増加によって予防される年間死亡数は、調整後の人口帰属率(PAF)に2003年の米国人口の年間死亡数(40~84歳の個人)を乗じることで推定された。PAFの算出には、年齢、性別、人種・民族、教育レベル、肥満指数(体重(kg)÷身長(m)2で算出)、食事、飲酒、喫煙状況、自己申告による慢性疾患、移動制限、健康全般を調整した、人口有病率推定値とハザード比を使用した。

結果

この分析には4,840人の参加者が含まれた。このうち、2,435人(53%)が女性で、993人(10.4%)が非ヒスパニック系黒人、887人(5.1%)がメキシコ系アメリカ人であった(表)。平均10.1年(SEM 0.1)の追跡期間中に、合計1,165人の死亡が発生した。

→4,840人のうち、1,165人が平均10年の追跡で死亡しています。4人に1人が亡くなっていることになり、高齢者がかなり含まれていたことが類推されます。

MVPA を 1 日 10 分,20 分,30 分増やした場合,1 年あたりの死亡数はそれぞれ 6.9%,13.0%,16.9%減少することが示された.1日10分の身体活動を追加することで、年間111,174人の死亡が予防可能と推定され(95%CI、79,594-142,754)、より多くの身体活動を追加することでより大きな効果が得られた(20分では209,459人の死亡が予防可能[95%CI、 146,299-272,619]、30分では272,297人の死亡が予防可能[95%CI、177,557-367, 037]) (図)

→一日10分の運動で、死亡率が6.9%減少。40歳以上の米国民全員が毎日10分運動すれば、年間11万人の死亡者が減少する計算となります。

考察

このコホート研究において、米国の40歳から85歳以上の成人がMVPAを少し(つまり1日10分)増やせば、年間約11万人の死亡を防ぐことができると推定された。男性女性、メキシコ系アメリカ人、非ヒスパニック系黒人、非ヒスパニック系白人の成人において、同様の効果が観察された。我々の知る限り、本研究は、米国の成人を対象に加速度計による測定値を用いて身体活動によって予防可能な死亡者数を推定した最初の研究である。ただし、すべての人が身体活動を増やすことは可能でないことを認識している。しかしながら、1週間のモニタリングでは経時的な活動の変化を反映していない可能性があり、観察研究デザインでは因果関係の直接的な判断に限界がある。

今回の結果は、成人の身体活動を向上させることで米国での死亡を減らす可能性のある、エビデンスに基づく政策の実施を支持するものである。

文責:院長 石本 修 (呼吸器専門医)

 

拙著「その息切れはCOPDです ―危ない「肺の隠れ慢性疾患」を治す!」はこちらから

著者ページはこちらから

HOME

ブログカレンダー

2022年10月
« 9月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME