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オミクロン株が確認された後の南アフリカ入院COVID-19患者の特徴(JAMA誌の報告)

[2022.01.02]

南アフリカで最初にオミクロン株が確認されたのが2021年11月、あっという間に世界中でオミクロン株が確認されるようになりました。今までの新型コロナウイルスと比べると、オミクロン株は軽症が多いのではないかと報道されています。12月30日のJAMA誌に、南アフリカからの報告が掲載されたので紹介します。

Research Letter(研究レター)は原著論文(Original Article)と比べて、データが少ないため文章が短く、掲載までのスピードを重視した論文になります。

考察にも言及されていますが、遺伝子レベルでオミクロン変異を確認したわけではありません。南アフリカで発生したCOVID-19流行の波は4回あり、第4波をオミクロン株優位の波と仮定して、第1~3波と比較したにすぎないことに注意が必要です。

以下は本文のほぼ全文を翻訳し、解説を少し加えます。

 

Research Letter(研究レター)

COVID-19オミクロン波における南アフリカでの入院患者の特徴と転帰を過去の波と比較する。(Characteristics and Outcomes of Hospitalized Patients in South Africa During the COVID-19 Omicron Wave Compared With Previous Waves)

Caroline Maslo, et al

Published Online: December 30, 2021. doi:10.1001/jama.2021.24868

 

2021年11月24日、南アフリカでCOVID-19の第4波の原因として、懸念されるSARS-CoV-2の変異株オミクロン(B.1.1.529)が確認された。 スパイクに変異が多いことから、ワクチンを回避して拡散する能力が懸念されている。第4波の期間中にSARS-CoV-2検査が陽性であった入院患者をこれまでの波と比較して評価した.

方法

Netcareは、南アフリカ全土に49の急性期病院(1万床以上)を有する民間医療グループである。南アフリカは3回のCOVID-19の波を経験している。(1)2020年6月から8月(祖先株)、(2)2020年11月から2021年1月(ベータ株)、(3)2021年5月から9月(デルタ株)の3つである。2021年11月15日から再び症例が、オミクロンの確認と同時に、増え始め、12月7日の時点で市中陽性率26%に到達した。これまでの波で陽性率26%に達した期間(第1波:2020年6月14日~7月6日、第2波:2020年12月1日~23日、第3波:2021年6月1日~23日)を特定し、第4波(2021年11月15日~12月7日)と比較検討した。

流行の波の期間をすべて比較したわけではなく、市中陽性率が26%以上であった期間をそれぞれの波で約3週間特定し比較しています。

Netcareの方針は、トリアージ目的にすべての入院患者を逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、または第2波以降は鼻咽頭スワブから得た迅速抗原検査でCOVID-19の検査を行うとなっている。COVID-19陽性の入院患者すべてを対象とした。患者の特徴,酸素投与と人工呼吸器の必要性,集中治療室への入院,入院期間(LOS),死亡率を,電子管理システムから抽出した。フォローアップは2021年12月20日までとした。(中略)

RT-PCRまたは抗原検査で、COVID-19の診断を行っています。患者毎に変異株を同定したわけではありません。

結果

それぞれの波の期間の早期に、病院で治療された患者数は異なるが(第4波2351人 vs. 第3波の最大6342人),COVID-19が陽性で救急部を受診した患者の68%〜69%が第1〜3波で入院したのに対し,第4波では41.3%となった(表1)。第4波で入院した患者の年齢は若く(年齢中央値36歳,第3波では最高59歳,P < 0.001),女性の割合が高かった.

第4波では若い患者が多く、入院率が低下しています。

第4波では,合併症を有する患者が有意に少なく,急性呼吸器症状を呈する患者の割合が低かった(第4波では31.6%,第3波では最大91.2%,P < 0.001)。第 4 波に入院した患者 971 例のうち,ワクチン接種済みは 24.2%,ワクチン未接種は 66.4%,接種状況が不明なのは 9.4%であった。

第4波では咳や息切れなど急性呼吸器症状を呈する患者は約3割と、第3波の3分の1となっています。

酸素療法を必要とする患者の割合は,人工呼吸を受けている患者の割合と同様に,有意に減少した(第4波では 17.6%, 第3波では 74%,P < .001)(表 2).集中治療室への入院は,第 4 波では 18.5%,第 3 波では 29.9%であった(P < 0.001)。

酸素を必要とするような患者が明らかに減っています。しかし、集中治療を必要とする患者がまだ18.5%もいることが気になります。

入院期間(LOS) の中央値は,第4波では 3 日に減少した(以前の波では 7~8 日)。死亡率は、第1波では19.7%、第3波では29.1%であったが、第4波では2.7%に減少していた。

入院患者の死亡率は第3波より10分の1程度に低下しています。しかし、逆にいうと感染者数が10倍になれば、死亡者数は同じとなり、医療ひっ迫度は変わらなくなります。

考察

COVID-19で入院した患者の特徴と転帰は,南アフリカにおける当初の波と比較して,第4波の早期には異なるパターンが観察された。併存疾患が少ない若年者に多く,入院や呼吸器系の診断が少なく,重症度と死亡率が低下していることがわかった。

この研究にはいくつかの限界がある。まず、患者のウイルスのジェノタイピングができなかった。オミクロン変異株は、11月までに分離された変異株の81%、2021年12月までに分離された変異株の95%であると推定された。

患者毎に変異を調べたわけではありませんが、第4波では81-95%がオミクロン株であったようです。

第二に、12月20日時点で患者の7%がまだ入院していた。第三に、国によって実施された規制やロックダウンが異なるため、患者の行動や入院のプロファイルが異なる可能性がある。これらの要因は緊急入院には影響しないはずである。第4に,COVID-19で入院した患者は,たまたま検査陽性であった無症状の他疾患による入院患者と区別することができず,第4波では呼吸器系の診断で入院した患者の割合が低いことから,波によって違いがある可能性が示唆された。

オミクロン株では、ワクチン接種者が増加しているので、無症状者が増加している可能性があります。無症状者も含めて入院率や重症化率、死亡率を比較することに意味があるのか疑問です。

波の違いが既存の獲得免疫や自然免疫の影響を受けるのか(2021年12月時点で南アフリカの成人人口の44.3%がワクチン接種を受けており、人口の50%以上がSARS-CoV-2への曝露経験がある)、あるいはオミクロン株がこれまでの変異株よりも病原性が低い可能性があるのか、さらなる研究が必要である。

日本のワクチン接種率は約80%であり、南アフリカの倍です。今回提示された南アフリカの数字は日本ではもっと低くなる可能性もあります。

文責:院長 石本 修 (呼吸器専門医)

新型コロナについて言及している拙著「その息切れはCOPDです ―危ない「肺の隠れ慢性疾患」を治す!」はこちらから

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