慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者は、タバコを吸ったことがなくても、肺がんリスクが高い(Thorax誌より)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者は、タバコを吸ったことがなくても、肺がんリスクが高い
要旨
非喫煙者における慢性閉塞性肺疾患(COPD)と肺がん発生率に関連があるかについて科学的証拠は限られている。 我々は、COPDをもつ非喫煙者における肺がん発生リスクを推定し、それと喫煙に関連するリスクと比較することを目的とした。
今回のコホート研究には、ベースラインで肺がんの既往がなく、国立健康保険サービスの全国サンプルコホートに登録されている40〜84歳の338,548人の被験者が含まれた。2,355,005人年の追跡期間(追跡期間中央値7.0年)において、1,834人の参加者が肺がんを発症した。
COPDをもたない非喫煙者と比較して、COPDをもつ非喫煙者、COPDをもたない喫煙者、COPDをもつ喫煙者における肺がんの完全調整ハザード比(95%CI)は、それぞれ2.67(2.09〜3.40)、1.97(1.75〜2.21)、6.19(5.04〜7.61)であった。
今回の大規模全国コホート研究では、COPDは非喫煙者における肺がん発生率の強力な独立リスク因子でもあり、喫煙状況に関係なくCOPD患者は肺がんリスクが高いことを示唆している。
文責:院長 石本 修 (呼吸器専門医)