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電子タバコはニコチン代替療法より禁煙に有効?

[2019.04.21]

 

しかし、電子タバコで1年後に禁煙を成功したとされる試験参加者のうち、ニコチン入りの電子タバコを使用し続けている人が8割もいるのです。つまり、禁煙できたと言っても、紙巻タバコがニコチン入り電子タバコに姿を変えただけにすぎません。

 

日本呼吸器学会は、「加熱式タバコ・電子タバコの使用は、1.健康に悪影響がもたらされる可能性 2.受動吸引による健康被害の可能性がある」という見解をだしています。ニコチン入り電子タバコは、ニコチン依存症の治療にならないだけではなく、紙巻タバコにはない未知の有害作用がある可能性があります。

 

NEJMという超一流の医学雑誌が「電子タバコが禁煙に有効」と言う論文を載せてしまうと、電子タバコ生産会社に追い風となってしまうかもしれません。しかし、それにブレーキをかけるかのように、本論文に対しEditorial(論説)が2編掲載されており、そのうちの1編で「電子タバコは青少年にとって麻薬の入り口になる」として痛烈に批判しています。今回の研究結果は十分吟味して解釈する必要がありそうです。

 

以下は論文要旨の和訳です。

February 14, 2019
N Engl J Med 2019; 380:629-637
DOI: 10.1056/NEJMoa1808779

電子タバコはニコチン代替療法より禁煙に有効?

背景

電子タバコは禁煙を試みる際に通常使用されているが、禁煙治療として承認されているニコチン製剤と比較してその有効性に関する科学的根拠は少ない。

方法

英国国民保健サービス(NHS)の禁煙事業に参加している成人を、好みのニコチン代替製品を使用する群または電子タバコ開始パックを使用する群のどちらかにランダムに割り当てた。ニコチン代替製品は最長3ヶ月間提供され、複数の製品を組み合わせ可能とした。電子タバコ開始パックは第2世代の詰め替え式電子タバコとし、ニコチン(18 mg / ml)を含有する電子タバコ用液体(e-リキッド)を使用した。また、好みの風味と強さのe-リキッドをさらに購入するよう推奨した。治療には少なくとも4週間、週1回の行動サポートが含まれた。主要評価項目は1年間の禁煙継続であり、これは最終受診時に生化学的に検証された。追跡調査に失敗した参加者または生化学的検証ができなかった参加者は、禁煙していないと見なされた。副次的評価項目には、参加者報告による実際の治療方法と呼吸器症状を含めた。

結果

合計886人の参加者が無作為化を受けた。1年間の禁煙に成功した割合はニコチン代替製品群で9.9%、電子タバコ群で18.0%であった(相対リスク1.83; 95%信頼区間[CI]、1.30-2.58; P <0.001)。 1年間の禁煙に成功した参加者のうち、電子タバコ群では、ニコチン代替製品群よりも、割り当てられた製品を52週後も使用している率が高かった(80%[79人中63人] 対 9%[44人中4人])。全体として、のどや口の刺激は電子タバコ群でより頻繁に報告され(65.3%、ニコチン代替製品群は51.2%)、吐き気はニコチン代替製品群でより頻繁に報告された(37.9%、電子タバコ群は31.3%)。ベースラインから52週後までに咳および痰の発生頻度は、ニコチン代替製品群よりも電子タバコ群で大きく減少した(咳の相対リスク0.8、95%CI 0.6〜0.9; 痰の相対リスク0.7、95%CI 0.6〜0.9)。喘鳴または息切れの発生率に有意な群間差はなかった。

結論

行動支援を併用すると、電子タバコはニコチン代替療法よりも禁煙に効果的であった。 (英国国立健康研究癌研究所による資金提供あり、現在の対照試験番号、ISRCTN60477608。)

 
文責:院長 石本 修 (呼吸器専門医)

 

タバコについて言及している拙著「その息切れはCOPDです ―危ない「肺の隠れ慢性疾患」を治す!」はこちらから

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