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ステロイド(ブデソニド)+ホルモテロールの必要時吸入療法は、ブデソニド毎日吸入療法よりも、重度のぜん息増悪をおこしにくい:システマティックレビューおよびメタアナリシス

[2021.09.26]

高血圧を放置すると、いつか脳出血や心筋梗塞など血管の病気になってしまうということを、一般常識として知っている人が多いと思います。しかし、ぜん息を放置すると、ぜん息死に至る可能性があるを知っている人は多くありません。

 

ぜん息の治療は、吸入ステロイド薬を1日1-2回毎日続けることが基本です。しかし、症状のないぜん息患者さんで、吸入を毎日継続できる人は多くはありません。用法通りに毎日吸入を継続できる患者さんは半分もいないというデータがでています。症状のない高血圧の患者さんが毎日薬を内服できるのと対照的です。

 

ぜん息の発作(増悪)をおこしたときにすぐに症状をとってくれる、短時間作用型吸入β2刺激薬(SABA; メプチンエアー®やサルタノールインヘラー®など)は、何十年も前から使用され、ぜん息の最も古い薬です。

数分で効果が現れるSABAは、患者さんに喜ばれる薬なので、医師も処方してしまいがちです。しかし、SABAを過剰使用することで、喘息が増悪するリスクが高まることが示されています。SABAを大量に使用(年間3本以上)すると、喘息の増悪リスクだけでなく、死亡率が増加するともいわれています。そのリスクを患者さんには理解してもらうように指導することが必要です。

 

過去のブログ記事参照 

2020.12.20 短時間作用型β2刺激薬(SABA)を過剰に使用すると、喘息の増悪(発作)および死亡リスクが上昇する(ERJ誌からの報告)

 

ブデソニド+ホルモテロール(商品名シムビコート🄬、ブデホル🄬)は一日2回の吸入を毎日定期的に行った上で、もし調子が悪ければ1吸入ずつ追加しても良いという用法で、日本では健康保険上認可されています。

海外のガイドラインでは、ブデソニド+ホルモテロールの新しい使い方として、毎日の定期吸入はせず調子が悪いときのみ吸入するという方法が薦められています。

 

本ブログでもブデソニド+ホルモテロールの必要時吸入(屯用)の臨床試験を紹介してきました。

2019.05.26 ブデソニド/ホルモテロール配合剤(シムビコート®)の必要時吸入という治療法は、軽症喘息患者さんにとって選択肢となり得るのか(SYGMA1試験)

2019.06.02 軽症の喘息では、ブデソニド+ホルモテロール(シムビコート®)の必要時吸入療法とブデソニド(パルミコート®)吸入維持療法のどちらが有効なのか(SYGMA2試験)

2019.06.09 軽症喘息に対するブデソニド-ホルモテロール(シムビコート®)必要時吸入療法の比較試験(Novel START 試験)

2019.09.08 ブデソニド+ホルモテロール(シムビコート®)の必要時吸入は、ブデソニド(パルミコート®)の毎日吸入より軽症喘息の発作予防に有効かもしれない(PRACTICAL試験)

2020.04.26 軽症喘息において、血中好酸球数と呼気中一酸化窒素濃度は治療効果を予測できるか:Novel START試験のサブグループ解析

2020.12.06 ブデソニド-ホルモテロール配合剤(シムビコート®)の必要時吸入は、3週間以内の重度の喘息発作を予防する可能性(Lancet Respir Med.誌より)

 

今回紹介する論文では、ブデソニド+ホルモテロールの必要時吸入(屯用)療法を従来治療と比較した臨床試験を4つまとめて、メタアナリシスを報告しています。ブデソニド+ホルモテロール必要時吸入すると、ICS維持療法と比較して重度増悪するまでの期間を有意に延長しました。ブデソニド+ホルモテロール必要時吸入が、将来的な肺機能低下やぜん息死を予防できるかまでは不明であり、さらなる検討が必要ですが、毎日吸入ができない患者さんにとっては一つの答えではないでしょうか。

 

喘息に対して、ICS-ホルモテロール症状緩和と、ICSおよび短時間作用型β2刺激薬症状緩和の比較:システマティックレビューおよびメタアナリシス

ICS-formoterol reliever versus ICS and short-acting β 2-agonist reliever in asthma: a systematic review and meta-analysis

ERJ Open Res. 2021 Jan 25;7(1):00701-2020.

DOI: 10.1183/23120541.00701-2020

 

概要

背景 

Global Initiative for Asthmaでは,ステップワイズ治療アルゴリズムのステップ2において,ICS維持療法+短時間作用型β2刺激薬(SABA)による喘息発作治療に代えて,必要時の吸入コルチコステロイド(ICS)-ホルモテロールによる治療を推奨している。我々の目的は、この2つの治療法の有効性と安全性を、重症増悪の予防に焦点を当てて評価することであった。

方法

必要時ICS-ホルモテロール療法とICS維持+SABAを比較したすべての無作為化対照試験(RCT)のシステマティックレビューとメタアナリシスを行った。MEDLINE,Embase,Cochrane Central Register of Controlled Trials,Clinicaltrials.govをデータベース開始から2019年12月12日まで検索した。主要評価項目は、最初の重度増悪までの時間とした。維持療法や緩和療法の一部として必要時ブデソニド-ホルモテロールを使用しているRCTや、重度増悪について報告していないRCTは除外した。このレビューはPROSPEROに登録されている(識別番号CRD42020154680)。

結果

4つのRCT(n=8,065人)が解析に含まれた。必要時ICS-ホルモテロールは、初回重度増悪までの期間延長(ハザード比0.85、95%CI 0.73-1.00、p=0.048)、1日のICS投与量の減少(平均差 -177.3μg、95%CI -182.2~-172.4μg)と関連していた。喘息症状のコントロールは,必要投与群で悪化したが(Asthma Control Questionnaire-5の平均差0.12,95%CI 0.09-0.14)、7臨床的に重要な最小差である0.50単位には達しなかった.重篤な有害事象については,有意な差は認められなかった(OR 1.07,95%CI 0.84-1.36)。

結論 

必要時ICS-ホルモテロールは、喘息に対して低用量ICS維持+SABA療法に代わる治療法であり、重度増悪の予防が治療の主目的である場合には好ましい選択肢であると考えられる。

 

文責:院長 石本 修 (呼吸器専門医)

 

ぜん息について言及している拙著「その息切れはCOPDです ―危ない「肺の隠れ慢性疾患」を治す!」はこちらから

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