ガンに対して代替医療しか受けないと、死亡リスクが2.5倍に上昇(JNCI誌より)
概要
がん患者に対する代替医療(AM)がどのように利用され、効果がどの程度あるのか入手可能な情報は限られている。
がんの単独治療としてAMを選択した、非転移性の乳がん、前立腺がん、肺がん、大腸がん患者であり、化学療法、放射線療法、手術、および/またはホルモン療法として定義される従来のがん治療(CCT)を受けていない281人を特定した。 多変量ロジスティック回帰の独立共変量の中で、乳がんまたは肺がん、高い社会経済的地位、西部または太平洋の山岳地域在住、病期II期またはIII期、併存疾患スコア低値がAM利用可能性の増加と関連していた。
Cox比例ハザード回帰の2:1マッチング(CCT = 560例およびAM = 280例)を行ったところ、AM利用はCCT全患者と比較して、死亡リスクと独立して関連していた(ハザード比[HR] = 2.50, 95%信頼区間[ CI] = 1.88~3.27)。サブグループでは乳がん(HR = 5.68, 95%CI = 3.22~10.04)、肺がん(HR = 2.17, 95%CI = 1.42~3.32)、および結腸直腸がん(HR = 4.57, 95%CI = 1.66~12.61)でAM利用は死亡リスクが上昇していた。まれではあるが、治癒可能ながんに対してCCTを行わずAMのみを利用すると、死亡リスクが高くなる。
文責:院長 石本 修 (呼吸器専門医)