循環器内科とは
循環器内科では、心臓や血管などの循環器系に関連する疾患を診療します。病気の早期発見や予防、適切な治療を通じて、心血管系の健康を守る重要な役割を担っています。
具体的には、心臓病、高血圧、動脈硬化、不整脈、心不全などの病気を扱います。これらの循環器疾患は日本では特に多い健康問題の一つであり、予防や診断、治療、管理を通じて、患者さんの健康を維持し、生活の質を向上させることが重要です。
当院での診療について
当院で診療する呼吸器疾患と循環器疾患は密接に関連しています。例えば、心不全という病気による症状には、呼吸器と関連する問題が多くあります。また、呼吸不全から心不全に移行することもよくあります。高齢化が進む中、両方の疾患を抱える患者さんが増えています。
診察時には血圧が高くなる方が多いため、自宅で血圧を定期的に測定し、記録していただくようお願いしています。その結果を基に、毎月の治療方針を検討します。
患者さんの心臓や血管に関する問題に対して、包括的な診療を提供し、必要に応じて他の専門医と協力して、総合的なケアを行います。
循環器内科で行われる検査
当院には12誘導心電図や24時間ホルター心電図が記録できる機器があります。そのため、動悸など不整脈を疑われる患者さんにはまず心電図で評価を行います。また、血管の柔軟性(血管年齢 CAVI)や、足の血管の詰まり(ABI)を調べる検査機器もあります。これらを使って動脈硬化症の評価を行います。
検査の結果、必要な場合は仙台厚生病院や仙台市立病院などの高度な医療機関に紹介することがあります。
特に激しい胸痛などがあり、不安定狭心症や急性心筋梗塞が疑われる場合は迅速に高度な医療機関に紹介します。
心電図検査
心臓の筋肉は、微量な電流によって収縮し、ポンプとして効率よく機能しています。心電図はこの電流をグラフにして、心臓の動きに異常がないかを調べる検査です。検査は1〜2分程度ですみ、痛みは全くありません。
心臓のリズム(不整脈の有無)と心臓の筋肉の病気(心肥大、狭心症、心筋梗塞、心筋症、心筋炎など)をはじめ、心臓を包む心膜の病気もわかります。
一方で、不整脈以外は、心電図だけでは確定診断に至らないことも少なくありません。そのため、ほかの検査と組み合わせて診断することが多いです。
12誘導心電図
12誘導心電図は、心臓の電気的な活動を記録する機器です。心臓の各部がどのように電気的に活動しているか(心臓のリズムや速度など)を把握することで、不整脈や心筋梗塞、他の心臓疾患を診断するのに役立ちます。
この検査は心臓の健康状態を素早く評価し、必要に応じてさらなる診断や治療計画を立てるための重要なツールです。また、心電図は非侵襲的な検査であり、患者さんには負担がありません。検査自体も数分で完了します。
24時間ホルター心電図
24時間ホルター心電図は、一日(24時間)中に患者さんの心電図を連続的に記録する検査です。
この検査は、不整脈や心臓の電気的な活動に関連する他の異常を検出するために使用されます。特に、日常生活の中で起こる心臓の問題を捉えることができるため、従来の短時間の心電図検査では見逃されてしまう症状や異常を発見するのに役立ちます。
動脈硬化検査(ABIおよびCAVI)
ABIは、足首と上腕の血圧を比較して、心臓から足先までの動脈の閉塞状態を調べる指標です。
一方、CAVIは、心臓から足首にかけての動脈の硬さを評価するための指標であり、手足の血圧の変動を測定して、血管の硬化度合い(いわゆる血管の老化度)を検査します。
ABIとCAVIを使って、動脈硬化症の評価を行います。
代表的な循環器疾患
高血圧
血圧は、心臓が体に血液を送り出すときに血管にかかる圧力のことです。この圧力が常に高い状態が高血圧であり、そのまま放置すると動脈硬化が進行し、心臓病や脳卒中、腎臓病などの深刻な疾患を引き起こすリスクが高まります。
高血圧は、上の血圧が140mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上、または両方が該当する場合に診断されます。診察室での血圧測定だけで高い値が出ることがあり、これを「白衣高血圧」と呼びます。家庭での血圧測定がより正確で、1週間程度にわたって朝と夜の1日2回、座った状態で行います。その平均が135mmHg以上かつ/または85mmHg以上であれば高血圧とされます。
職場やストレスの多い状況でも血圧が上昇することがありますので、これらの状況下でも定期的に血圧を測定し、健康な範囲内に保つよう心がけましょう。血圧計は上腕にカフを巻くタイプを使い、測定前には1-2分の安静を保つことが重要です。手首に巻くタイプは、どうしても値が不正確になりがちなので注意して使ってください。
高血圧は健康リスクを増大させるため、早期発見と適切な管理が必要です。生活習慣の改善や必要に応じた薬物療法を行うことで、血圧を適切に管理し、健康を維持することができます。
以下のページでも詳しくご紹介しておりますのでぜひご覧ください。
不整脈
不整脈とは、心臓の拍動が通常のリズムから逸脱した状態を指します。
この状態では、
- 心拍数が異常に速くなる(頻脈)
- 異常に遅くなる(徐脈)
- 不規則な拍動が見られる(期外収縮など)
など、様々な病態があります。
不整脈は、心臓の電気的な活動の異常によって引き起こされ、さまざまな原因が考えられます。
例えば、心臓疾患、電解質のバランスの乱れ、ストレス、過度なカフェインやアルコールの摂取などが挙げられます。
安定狭心症
安定狭心症は、心臓への血流が一時的に不足することで起こる胸の痛みや不快感を特徴とする状態です。通常、心臓に酸素を運ぶ冠状動脈が狭くなったり、一部が閉塞したりすることで引き起こされます。
安定狭心症の症状は、特に運動やストレスなどで心臓の酸素必要量が増えた時に出現し、休息や硝酸薬によって改善されることが一般的です。
心筋梗塞
心筋梗塞は、心臓に酸素と栄養を運ぶ冠動脈が閉塞し、血流が止まることで心筋細胞が死ぬ状態です。慢性期になると、心筋損傷の程度に応じて心臓のポンプ機能が低下し、日常の活動能力や体力が減少します。運動時に負荷をかけると疲れや息切れなど、心不全の兆候が現れます。
慢性期では心臓に適した活動が必要です。高脂血症、高血圧、糖尿病などの心臓病リスクを低減するために、肥満、喫煙、運動不足、ストレスなどを改善する生活指導を行います。