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院長ブログ

COVID-19ワクチンの3回目接種によって、重症化と死亡を防ぐ(イスラエルの報告)(2021.11.28更新)

本ブログを記載している2021/11/28時点で、日本では新型コロナウイルスの第5波が収束し、感染者数はピーク時と比較して極めて少なくなっています。しかし、海外ではいったん減少した感染者が再び激増し、再流行しています。最近では、デルタ株にかわり、南アフリカのオミクロン株が要注意とされています。日本でもまた再流行してしまうのでしょうか。

日本では3回目の新型コロナウイルスワクチン接種が始まろうとしています。3回目接種が本当に効果があるのか、世界で最も早く接種を開始したイスラエルから論文報告がありましたので、紹介したいと思います。

 

2021年10月のLANCET誌に、イスラエルの全国的な集団予防接種データを用いて実施されたこの大規模な観察研究が掲載されています。その結果、BNT162b2 mRNA COVID-19ワクチン(ファイザー社)の3回目接種が、COVID-19関連の重症化を防ぐのに有効であると推定されました。

5カ月以上前に2回接種したファイザーワクチンと比較して、3回目の接種を追加することで、COVID-19関連の入院を93%、重症化を92%、COVID-19関連の死亡を81%予防できると推定されました(%は1-リスク比)。3回目の接種後7日以上経過した時点から、その効果が現れてきます。

この研究は後ろ向きの観察研究ですが、3回接種した人の併存疾患や行動因子などの様々な可能性のある交絡因子を、2回のみ接種した人とマッチさせて比較することで、精度を高めています。(例えば、2回接種しかしない集団を対照として、3回接種する集団とどちらか良いかという、前向き無作為化対照試験を行うのは困難です。)

今回の結果から、COVID-19関連の重篤な転帰の予防には、BNT162b2ワクチン(ファイザーワクチン)の3回目接種が有効であることが示唆されました。しかし、この研究はデルタ株が流行していた時期に行われたものです。新たな変異株に対して3回目接種が有効かは不明です。デルタ株が終息したように見える日本では3回目接種がどの程度有効なのか、まだわかりません。

新型コロナワクチンの接種時期が2ヶ月違うだけで、デルタ株の感染率と重症化率が異なる(イスラエルからの報告)[2021.11.21]

イスラエルでの新型コロナウイルスワクチン集団接種の有効性(NEJM誌の報告)[2021.02.28]

BioNTechとファイザーによる新型コロナウイルスワクチンの詳細なデータがNEJM誌より発表 2020.12.13

 

(B)重症COVID-19、(C)COVID-19関連死亡を、BNT162b2 mRNA COVID-19ワクチンを2回接種した場合と3回接種した場合で比較した累積発生率曲線。

縦の破線は主要解析期間の開始日である7日目を示す。

 

BNT162b2 mRNA COVID-19ワクチンの3回目接種による重篤な転帰の予防効果:イスラエルにおける観察研究

Effectiveness of a third dose of the BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccine for preventing severe outcomes in Israel: an observational study

Noam Barda, et al.

Published:October 29, 2021

DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(21)02249-2

 

概要

背景

多くの国で、主にSARS-CoV-2のデルタ株(B.1.617.2)に起因するCOVID-19の再流行が起こっている。これらの国では、時間の経過とともにmRNA COVID-19ワクチンによる免疫力が低下し、デルタ株に対する効果が低下する可能性があるため、ブースターとしてワクチンの3回目投与を検討している。今回、イスラエル最大の医療機関のデータリポジトリを利用して、COVID-19の重症化を防ぐためのBNT162b2 mRNAワクチンの3回目投与の有効性を評価することを目的とした。

 

方法

加入義務のある医療保険をイスラエル国民の半数以上に提供しているClalit Health Services社のデータを用いて、2020年7月30日から2021年9月23日までにに3回目のワクチン接種を受けた人と、人口統計学的および臨床的に類似している3回目のワクチン未接種の人を1対1でマッチさせた。対象となる参加者は、募集日の少なくとも5カ月前に2回目のワクチン接種を受けており、過去にSARS-CoV-2の感染が記録されておらず、募集前の3日間に医療機関に受診していなかった。医療従事者、長期療養施設に居住している人、医学的理由で自宅療養中の人は除外した。主要アウトカムは、COVID-19関連の入院、重症化、COVID-19関連死とした。各転帰に対する3回目ワクチン投与の効果は、Kaplan-Meier推定量を用いて、1−リスク比として推定した。

 

調査結果

1,158,269人が3回目のワクチン投与群に登録可能であった。マッチングの結果、3回目の投与群と対照群にはそれぞれ728,321人が含まれた。参加者の年齢中央値は52歳(IQR 37-68)で、51%が女性であった。フォローアップ期間の中央値は両群とも13日(IQR 6-21)であった。3回目の投与を受けてから7日以上後に評価されたワクチンの有効性は,5カ月以上前に2回投与のみを受けた場合と比較して,入院については93%(2回投与群で231件,3回投与群で29件,95%CI 88-97),重症化については92%(157件,17件,82-97),COVID-19関連死については81%(44件,7件,59-97)と推定された.

 

解釈

BNT162b2 mRNAワクチンの3回目の接種は、5カ月以上前に2回だけ接種した場合と比較して、重篤なCOVID-19関連事象の予防に有効であることが示唆された。

 
文責:院長 石本 修 (呼吸器専門医)

新型コロナについて言及している拙著「その息切れはCOPDです ―危ない「肺の隠れ慢性疾患」を治す!」はこちらから

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