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ブデソニド-ホルモテロール配合剤(シムビコート®)の必要時吸入は、3週間以内の重度の喘息発作を予防する可能性(Lancet Respir Med.誌より)

[2020.12.06]

 

しかし、SABAを定期的に頻繁に使用することにより、気道が過剰に反応することが増え、喘息コントロールが悪化し、気管支粘膜の炎症が亢進し、アレルゲンへの反応が増加します。SABAを過剰使用することで、喘息が増悪するリスクが高まることが示されています。SABAを大量に使用(年間3本以上)すると、喘息の増悪リスクだけでなく、死亡率が増加するともいわれています。

 

今回紹介する論文は、以前当ブログでも紹介したSYGMA1試験(ブデソニド-ホルモテロール配合剤(シムビコート®)の必要時吸入という治療法は、軽症喘息患者さんにとって選択肢となり得るのか)の事後解析研究です。

SYGMA1試験では軽症喘息を対象に、症状があるときに必要に応じてブデソニド-ホルモテロール配合剤(シムビコート®)を吸入する治療法は、ブデソニド(パルミコート®)毎日吸入したうえで症状があるときにSABAを吸入する治療法と同様に、1年以内の喘息増悪(発作)を予防できるという結論でした。

 

今回の事後解析では、症状があるときに吸入をした回数が24時間で何回あったかを調べ、その後3週間以内に救急外来受診を要するような重篤な増悪(発作)が何回発生したかを、治療群毎に調べています。1日に何回も症状がでてSABAのみを吸入するような患者さんでは、やはりその後の重篤な増悪をきたす確率が最も高くなっていました。

シムビコート®群とパルミコート®群では、重篤な増悪発生率にあまり差がないものの、シムビコート®群の方がやや少ないように見えます。有症状時にβ2刺激薬だけではなく、抗炎症作用のあるICSが入っているシムビコート®を吸入した方が、その後の重篤な増悪(発作)を予防する効果が少しあるのかもしれません。

 

 

 

 

Effect of a single day of increased as-needed budesonide–formoterol use on short-term risk of severe exacerbations in patients with mild asthma: a post-hoc analysis of the SYGMA 1 study

軽症喘息患者における重症増悪の短期リスクに対するブデソニド-ホルモテロールの1日増量投与の効果:SYGMA 1試験の事後解析

Published:October 01, 2020

DOI: https://doi.org/10.1016/S2213-2600(20)30416-1

 

概要

背景

軽症喘息では、ブデソニド-ホルモテロールの必要時吸入は、短時間作用性β2刺激薬(SABA)の必要時吸入と比較して長期的な増悪リスクを低下させた。また、ブデソニド用量が低いにもかかわらず、ブデソニドの維持療法+必要時SABAと比較して、同等またはそれ以上の低下がみられた。SYGMA1試験の事後分析では、様々なレベルの増悪緩和薬を1日使用後の重症増悪の短期リスクを調査した。

方法

SYGMA1は、52 週間、二重盲検、無作為化、対照、第 3 相試験であり、12 歳以上の軽症喘息患者をプラセボ 1 日 2 回+必要時テルブタリン 0.5 mg、プラセボ 1 日 2 回+必要時ブデソニド-ホルモテロール 200-6 μg、またはブデソニド 200 μg 1 日 2 回+必要時テルブタリン(すなわち、ブデソニド維持療法群)に無作為に割り付けた(1:1:1)。この事後解析では、24時間で2 回以上,4 回以上,6 回以上,または 8 回以上の増悪緩和吸入薬を初めて使用した後の 21 日間における増悪緩和薬の使用頻度と重篤な増悪のリスクを評価した。 SYGMA 1 は ClinicalTrials.gov,NCT02149199 に登録されており,現在は完了している。

調査結果

SYGMA 1に登録された5721人の患者のうち、3849人が無作為に、必要時テルブタリン吸入群(n=1280)、ブデソニド-ホルモテロール必要時吸入群(n=1279)、またはブデソニド吸入維持群(n=1290)に割り付けられ、そのうち評価可能なデータがある3836人(n=1277人の必要時テルブタリン吸入群、n=1277人のブデソニド-ホルモテロール必要時吸入群、およびn=1282人のブデソニド吸入維持群)に割り付けられた。増悪緩和薬の使用量中央値(1日あたりの吸入回数)は、必要時テルブタリン群で0-32回(IQR 0-08-0-91)、ブデソニド-ホルモテロール必要時吸入群で0-29回(0-07-0-72)、ブデソニド吸入維持群で0-16回(0-04-0-52)であった。年齢や性別,無作為に割り付けられた治療,試験前治療群,試験治療前の予測気管支拡張後の%FEV 1,試験登録前12カ月間の重症増悪で調整すると,2回以上の必要時吸入を1日で行った場合、21日後に重症増悪を起こすハザード比(HR)は必要時テルブタリン吸入と比較して、必要時ブデソニド-ホルモテロール吸入群では0-27(95%信頼区間0-12-0-58. p=0-0008)、ブデソニド維持療法群で0-39(0-19-0-79。p=0-0091)であった。4回以上の必要時吸入を1日で行った場合、必要時ブデソニド-ホルモテロール吸入群ではHRは0-24(0-10-0-62; p=0-0030)、ブデソニド維持療法群では0-30(0-13-0-72. p=0-0065)であった。また、1日6回以上の必要時吸入を行った場合、必要時ブデソニド-ホルモテロール吸入群ではHRは0-14(0-02-1-06; p=0-057)、ブデソニド維持療法群では0-43(0-14-1-26; p=0-12)であった。8 回以上の必要時吸入では、イベント数が少ないためHR は算出されなかった。

解釈

軽症喘息において、必要時ブデソニド-ホルモテロール吸入を1日で高頻度に使用(2回以上の必要時吸入)しても、重症増悪の短期的なリスクが減少する。全体的な使用頻度が低い場合でも同様である。症状が発生した際に、吸入コルチコステロイドおよびホルモテロール頓用はタイミングよく増量投与されるため、抗炎症性の増悪緩和薬の使用は短期的な重篤な増悪のリスクを減少させる可能性がある。今回の結果は前向き無作為化臨床試験でさらに評価する必要がある。

資金提供

アストラゼネカ社

文責:院長 石本 修 (呼吸器専門医)

喘息についても言及している拙著「その息切れはCOPDです ―危ない「肺の隠れ慢性疾患」を治す!」はこちらから

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