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PD-L1が高発現している未治療進行期非小細胞肺癌患者に対し、アテゾリズマブ(テセントリク)は単剤で有効なのか

[2020.10.25]

今回の論文

アテゾリズマブが初回治療として、進行期の肺がんに効果があるかを第3相試験として、今までの標準治療であった抗がん剤(プラチナ併用療法)と比較しています。PD-L1を高発現している肺がんに対しては、アテゾリズマブは生存期間を統計学的有意に延長させる効果がありました。

ほんの数年前まで一般的に行われていたプラチナ併用療法は、一般的な治療ではなくなってしまうと思われます。時代の速い流れを感じます。

 

PD-L1が発現している非小細胞肺癌患者に対し、アテゾリズマブは単剤で初回治療から有効なのか

Atezolizumab for First-Line Treatment of PD-L1–Selected Patients with NSCLC

N Engl J Med 2020; 383 : 1328 – 39. 

 

 

要旨

背景

PD-L1(programmed death ligand 1)が発現している進行期非小細胞肺癌(NSCLC)患者に初回治療として、プラチナベースの化学療法と比較して抗 PD-L1 モノクローナル抗体であるアテゾリズマブが有効かどうか、また安全かどうかはまだ明らかではない。

方法

前治療歴がなく,SP142 免疫組織化学法にて検査したPD-L1の発現量が腫瘍細胞の 1%以上または腫瘍浸潤する免疫細胞の 1%以上に認める非扁平上皮癌または扁平上皮癌である、進行期NSCLC 患者を対象に,無作為化非盲検第3相試験を実施した。登録患者はアテゾリズマブ群または化学療法群に 1:1 の割合で割り付けられた。EGFR変異やALK転座に関して野生型である腫瘍をもつ患者のITT集団において、全生存期間(主要評価項目)をPD-L1の発現レベルによって階層的に調査した。EGFRとALK が野生型である腫瘍をもつ集団については、2つの PD-L1 検査法および血液中の腫瘍遺伝子変異量(TMB)によるサブグループにおいても全生存期間と無増悪生存期間を前向きに評価した。

結果

全部で572人が登録された。EGFRとALKが野生型で、PD-L1が最も高発現であったサブグループ(205 例)では、化学療法群よりもアテゾリズマブ群の全生存期間中央値が7.1ヵ月長かった(20.2ヵ月 対 13.1ヵ月;死亡に対するハザード比 0.59;P=0.01)。安全性評価ができたすべての患者において、アテゾリズマブ群の90.2%と化学療法群の 94.7%に有害事象を認め、グレード3または4の有害事象はそれぞれ30.1%と52.5%にみられた。血液中のTMBが高いサブグループにおいて、アテゾリズマブの方が全生存期間と無増悪生存期間が良好であった。

結論

PD-L1高発現のNSCLC患者では、その組織型にかかわらず、アテゾリズマブを投与された方がプラチナベース化学療法よりも全生存期間が有意に延長した。

資金提供

エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社/ジェネンテック社;IMpower110 試験 ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02409342

 
文責:院長 石本 修 (呼吸器専門医)

肺がんについても言及している拙著「その息切れはCOPDです ―危ない「肺の隠れ慢性疾患」を治す!」はこちらから

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