進行非小細胞肺癌に対するニボルマブとイピリムマブの併用療法
N Engl J Med 2019; 381:2020-2031
DOI: 10.1056/NEJMoa1910231
背景
進行期の非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象とした初期段階の臨床試験において、ニボルマブとイピリムマブ併用療法はニボルマブ単剤療法より奏効率が高く、特にPD-L1発現する腫瘍をもつ患者で効果が高かった。NSCLC 患者においてニボルマブ+イピリムマブが長期的に利益をもたらすかを評価するデータが必要である。
方法
IV 期または術後再発のNSCLCを対象とした今回の非盲検第Ⅲ相試験において、PD-L1発現量が 1%以上の患者をニボルマブ+イピリムマブ群、ニボルマブ単独群、化学療法群に1:1:1の割合で無作為に割り付けた。PD-L1 発現量が 1%未満の患者はニボルマブ+イピリムマブ群、ニボルマブ+化学療法群、化学療法単独群に1:1:1の割合で無作為に割り付けた。化学療法を受けたことのある患者はいなかった。今回報告する主要評価項目は、PD-L1発現量が 1%以上の患者において,化学療法群とニボルマブ+イピリムマブ群の全生存期間を比較することであった。
結果
PD-L1発現量が 1%以上の患者では、全生存期間中央値はニボルマブ+イピリムマブ群で 17.1か月(95%信頼区間 [CI] 15.0~20.1),化学療法群で14.9か月(95% CI 12.7~16.7)であり(P=0.007),2年全生存率はそれぞれ40.0%と32.8%であった。奏効期間の中央値は、ニボルマブ+イピリムマブ群で23.2か月、化学療法群で6.2か月であった。PD-L1 発現量が1%未満の患者においても全生存期間の延長がみられ、その中央値はニボルマブ+イピリムマブ群で17.2か月(95% CI 12.8~22.0)、化学療法群で12.2 か月(95% CI 9.2~14.3)であった。すべての試験患者の全生存期間中央値はニボルマブ+イピリムマブ群で 17.1か月(95% CI 15.2~19.9)、化学療法群で 13.9か月(95% CI 12.2~15.1)であった。全集団でgrade 3または4 の治療関連有害事象を認めた患者の割合はニボルマブ+イピリムマブ群で32.8%、化学療法群で36.0%であった。
結論
ニボルマブ+イピリムマブによる一次治療は化学療法と比べ、PD-L1の発現量にかかわらずNSCLC患者の全生存期間が延長した。長期間の追跡で新たな安全性の問題はなかった。(ブリストル・マイヤーズ スクイブ社,小野薬品工業社から研究助成あり。CheckMate 227 試験:ClinicalTrials.gov登録番号NCT02477826)
文責:院長 石本 修 (呼吸器専門医)