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症状のない軽症COPDにも吸入療法を行う意義はあるのか

[2019.05.19]

 

COPDではない健康な人でも年々肺機能は低下(一種の老化現象)していきますので、COPDの患者さんも年々症状が増悪していきます。そして、症状を自覚する頃にはCOPDはすでに進行しており、重症化しています。現時点でCOPDの根治的な治療法はありません。やはり早期発見と早期治療、治療継続が肝要です。

 

今回紹介する論文では、軽症から中等症COPDの患者さんにチオトロニウムという気管支拡張剤を吸入してもらい、2年後の肺機能低下が抑えられたかを検証しています。その結果、重症患者でなくてもチオトロニウム吸入療法により肺機能低下が抑えられており、COPD急性増悪の発症も抑えられていました。つまり、無症状もしくはセキなどの軽い症状しかないCOPD患者さんでも吸入治療をすることで症状悪化の予防につながるため、治療をする意義があることになります。

 

September 7, 2017
N Engl J Med 2017; 377:923-935
DOI: 10.1056/NEJMoa1700228

 

症状のない軽症COPDにも吸入療法を行う意義はあるのか

背景

軽症~中等症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者は症状がほとんどなく、滅多に投薬されない。軽症または中等症COPD患者がチオトロピウムを長期的に吸入することにより肺機能が改善され、肺機能の低下が抑えられるかを検証した。

 

方法

中国において多施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。GOLD Stageが1(軽症)または2(中等症)の COPD 患者を841例集め、チオトロピウム(18 mg)を1日1回吸入する群(419例)、もしくはプラセボを吸入する群(422例)に無作為に割り付け、2年間投薬した。主要評価項目は、治療開始前から24 ヵ月の治療で変化した1秒量(気管支拡張薬吸入前)が2群間でどれくらい差があるかとした。副次評価項目は、治療開始前から24 ヵ月の治療で変化した1秒量(気管支拡張薬吸入後)の2群間差、治療30日目から24ヵ月後までに1秒量(気管支拡張薬吸入前および吸入後)が低下した量の2群間の差などとした。

 

結果

841例が無作為化され、そのうちチオトロピウム群388例、プラセボ群383例を完全解析の対象とした。チオトロピウムが投与された患者の1秒量は、プラセボ投与よりも、試験期間を通して高値であった(平均1秒量の差は、気管支拡張薬吸入前が127~169mL、吸入後は71~133mL; p<0.001)。1年後に気管支拡張薬吸入前1秒量が低下した量の平均(±SE)はチオトロピウム群で38±6 mL、プラセボ群で53±6 mL であり、低下量は有意に抑制されてはいなかった(差15 mL、95%信頼区間 [CI] -1~31、p=0.06)。一方、気管支拡張薬吸入後の1秒量が1年間で低下した量は、チオトロピウム群の方がプラセボ群よりも有意に抑制されていた(29±5mL 対 51±6 mL、差 22 mL [95% CI 6~37]、p=0.006)。有害事象は2群間で概して同程度の発現であった。

 

結論

GOLD Stageが1または2のCOPD 患者において、チオトロピウム投与群の方がプラセボ投与群よりも24ヵ月後の FEV1 が高値であり、気管支拡張薬吸入後の FEV1 の年間低下量が抑制されていた。

(Boehringer Ingelheim 社などから資金提供あり。Tie-COPD 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01455129)

 
文責:院長 石本 修 (呼吸器専門医)

 

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