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新型コロナウイルス感染症(COVID-19) に対する抗体カクテル療法とは;カシリビマブ+イムデビマブ (ロナプリーブ🄬)による治療

[2021.09.05]

新型コロナウイルス感染症(COVID-19) に対する抗体カクテル療法ロナプリーブ🄬(カシリビマブcasirivimab及びイムデビマブ imdevimab)が2021年7月に承認され、ロシュグループの中外製薬が販売開始しています。

ロナプリーブ🄬 は COVID-19 の原因ウイルスである SARS-CoV-2 のスパイクタンパク質(下図のオレンジ部分)に結合することで、SARS-CoV-2 を中和し、ヒトへの感染を抑える働きがあります。

Am J Respir Crit Care Med. 2021 Jun 1;203(11):P26-P27. doi: 10.1164/rccm.2021C3 より引用

 

その作用機序から考えると、この薬は細胞に感染する前のウイルスが標的となっています。すでに感染して、細胞内で増殖しているウイルスには効きません。また、増殖したウイルスに過剰に反応している免疫反応を抑える薬でもありません。つまり、この薬は、ウイルス量がまだ多くない感染早期に投与する必要があります、

中外製薬のロナプリーブ🄬適正使用ガイドには、つぎのように書かれてます。

「SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから速やかに投与すること。臨床試験において、症状発現から8日目以降に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない」

投与対象患者について、さらにつぎのように書かれています。

「臨床試験の主な投与経験を踏まえ、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者を対象に投与を行うこと」

重症化リスク因子として、50歳以上、慢性肺疾患(喘息を含む)、糖尿病、免疫抑制状態、心血管疾患(高血圧を含む)、肥満(BMI 30以上)、慢性腎障害(透析を含む)、慢性肝疾患が挙げられており、いずれか一つ以上有する患者がロナプリーブ🄬投与の条件です。そして、酸素が必要な状態になったらロナプリーブ🄬を投与時期を逃していることになります。

感染が判明した時点において、その患者が重症化するのか見極めて、ロナプリーブ🄬を投与するか決定しなければいけません。自宅や宿泊施設療養患者一人一人について、その見極めをすることが求められています。

 

今回紹介する論文は、ロナプリーブ🄬が承認されるに至った臨床試験のうち、ウイルス量について調べた研究結果です。

 

 

N Engl J Med. 2021 Jan 21;384(3):238-251. Epub 2020 Dec 17.

REGN-COV2, a Neutralizing Antibody Cocktail, in Outpatients with Covid-19

外来Covid-19患者における中和抗体カクテル「REGN-COV2」

DOI: 10.1056/NEJMoa2035002

 

 

概要

背景

最近のデータによると、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)による合併症や死亡とウイルス量は関連している可能性が示唆されている。

方法

Covid-19の外来患者を対象とした現在進行中の二重盲検第1~3相試験において,治療抵抗性変異ウイルスの出現リスクを低減するために、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパクに対する2種類の完全ヒト型中和モノクローナル抗体を混合カクテル(REGN-COV2)として使用することを検討した。患者は、プラセボ、2.4gのREGN-COV2、8.0gのREGN-COV2のいずれかに1:1:1で無作為に割り付けられ、ベースライン時にSARS-CoV-2に対する内因性免疫反応(血清抗体陽性または血清抗体陰性)の特徴を調べられた。主要評価項目は、ベースライン(1日目)から7日目までのウイルス量の時間加重平均変化と、29日目までにCovid-19に関連する医療機関への受診が1回以上あった患者の割合であった。すべての患者で安全性が評価されました。

結果

275名の患者データが報告された。1日目から7日目までのウイルス量の時間加重平均変化量の最小二乗平均差(REGN-COV2投与群 vs.プラセボ群)は、ベースラインで血清抗体陰性だった患者では-0.56 log10 copies/ml(95%信頼区間[CI]、-1.02~-0.11)、試験全体では-0.41 log10 copies/ml(95% CI、-0.71~-0.10)であった。試験全体において、少なくとも1回の医療機関への受診を報告した患者はプラセボ群の6%、REGN-COV2投与群の3%、;ベースライン時に血清抗体陰性だった患者において、それぞれ15%と6%でであった(差、-9ポイント、95%CI、-29~11)。過敏性反応、輸液関連反応、その他の有害事象が発生した患者の割合は、REGN-COV2投与群とプラセボ群で同様であった。

結論

今回の中間解析では、REGN-COV2抗体カクテルはウイルス量を減少させ、免疫応答がまだ開始されていない患者や、ベースラインでウイルス量が多かった患者でその効果は大きかった。安全性については、REGN-COV2投与群とプラセボ群で同様の結果が得られた。(Regeneron Pharmaceuticals社および米国保健社会福祉省のBiomedical and Advanced Research and Development Authorityから資金提供あり。ClinicalTrials.gov番号、NCT0442562)

 
文責:院長 石本 修 (呼吸器専門医)

 

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