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リアルワールドでのコロナワクチンによるアナフィラキシー発生率は0.025%(64,900人中16人;アメリカ医療従事者の調査から)

[2021.04.25]

世界に遅れて、日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりました。ワクチンの効果は90%以上であり、有効性については心配するところはありません。接種するにあたり、やはり心配なのは副反応、安全性ではないでしょうか。アストラゼネカ社のワクチンについては血栓症が問題となっていますが、日本で始まったファイザー社のワクチンについてはアレルギー反応、アナフィラキシーが一番の懸念事項です。

 

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の2021/1/6発表によると、2020/12/14-23にファイザー社のCOVID-19ワクチンが189万人に接種され、21例(11.1例/100万回, 0.0011%)がアナフィラキシーと診断されたようです。21例中15例(71%)がワクチン投与から15分以内にアナフィラキシー症状が発現しました。しかし、このデータはワクチン接種者の自主的な報告に基づくもので、報告されていない症例が含まれている可能性があります。

 

ワクチンが承認されるために実施した臨床試験結果は、本ブログでも以下のように紹介してきました。しかし、最も心配なアナフィラキシーの頻度についてはっきりとした記載がありません。

2020.12.13 BioNTechとファイザーによる新型コロナウイルスワクチンの詳細なデータがNEJM誌より発表

2021.01.10モデルナ社の新型コロナウイルスワクチンは94.1%の有効性(NEJM誌より報告)

2021.01.17オックスフォードとアストラゼネカによる新型コロナウイルスワクチンの有効率は70.4%(LANCET誌の報告)

2021.02.28イスラエルでの新型コロナウイルスワクチン集団接種の有効性(NEJM誌の報告)

 

今回紹介する論文では、アメリカのボストンにあるハーバード大学医学部関連の病院に勤務している職員約6万5千人を対象に、急性のアレルギー反応とアナフィラキシーについて調査しています。その結果、アナフィラキシーを起こした職員は64,900人中16人(0.025%)でした。この発生率はアメリカ疾病予防管理センター(CDC)の報告の約20倍になります。この数字は大きいように見えますが、ペニシリン系抗菌薬によるアナフィラキシーの頻度0.01~0.05%であることを考慮すると、特に大きいわけではありません。

 

Research Letter

March 8, 2021

Acute Allergic Reactions to mRNA COVID-19 Vaccines mRNA COVID-19

ワクチンの急性アレルギー反応

JAMA. 2021;325(15):1562-1565.

Published Online: March 8, 2021. doi:10.1001/jama.2021.3976

 

現在、mRNA COVID-19ワクチンに対するアナフィラキシーは、100万回接種あたり2.5~11.1件発生すると推定されており、その多くはアレルギーの既往歴のある人である。アレルギーへの懸念はワクチン接種を躊躇させる一因となっている。我々は、mRNA COVID-19ワクチンを60,000回以上投与した後の急性アレルギー反応の発生率を調査した。

 

方法

mRNA COVID-19ワクチンの初回接種を受けたMass General Brigham(MGB)の職員を対象に、前向き調査を行った(2020年12月16日~2021年12月2日、フォローアップは2021年2月18日まで)。ワクチン接種後の3日間で、電子メール、テキストメッセージ、電話、スマートフォンアプリのリンクなど多種の方法により、職員は症状調査を完了した。急性アレルギー反応症状として、かゆみ、発疹、じんましん、腫れ、そして/または呼吸器症状が含まれた。

 

アナフィラキシーを確認するために、アレルギー専門医/免疫学者が、(1)2つ以上のアレルギー症状を報告した職員、(2)MGBの安全報告書にアレルギー反応があったと記載された職員、(3)職員のワクチン接種をサポートするオンコールのMGBアレルギー/免疫学チームによって記録された職員、(4)MGBのアレルギー/免疫学に紹介された職員の電子カルテを確認した。エピソードはBrighton CriteriaとNational Institute of Allergy and Infectious Diseases/Food Allergy and Anaphylaxis Network (NIAID/FAAN)の基準を用いて採点した。

(中略)

 

結果

COVID-19ワクチンの初回接種を受けた64,900人の職員のうち、25,929人(40%)がファイザー・バイオンテック社製ワクチン、38,971人(60%)がモデルナ社製ワクチンを接種した。52,805 名(81%)が少なくとも 1 回の症状調査に回答した。

 

急性アレルギー反応は、全体で1,365名の職員から報告され(2.10%[95%CI, 1.99%~2.22%])、モデルナ社製ワクチンの方がファイザー・バイオンテック社製ワクチンよりも報告が多かった(2.20%[95%CI, 2.06%~2.35%]対1.95%[95%CI、1.79%~2.13%];P=0.03)(表1)。アナフィラキシーは16名の職員で確認された(0.025%[95%CI,0.014%〜0.040%]):ファイザー・バイオンテック社製ワクチンの症例が7名(0.027%[95%CI,0.011%〜0.056%])、モデルナ社製ワクチンの症例が9名(0.023%[95%CI,0.011%-0.044%])(P=0.76)。

 

アナフィラキシー患者の平均年齢は41歳(SD, 13)で,15人(94%)が女性であった(表2)。10人(63%)にアレルギーの既往があり,5人(31%)にアナフィラキシーの既往があった。アナフィラキシー発症までの平均時間は17分(SD,28;範囲1~120)であった。1名が集中治療室に収容され、9名(56%)がエピネフリンの筋肉内投与を受け、全員が回復した。3名の職員はアナフィラキシーの既往があったが、治療を受けなかった。

 

考察

医療従事者を対象とした、今回の前向きコホート研究では、98%がmRNA COVID-19ワクチン接種後にアレルギー反応を示す症状を認めなかった。残りの2%は何らかのアレルギー症状を報告したが、アナフィラキシーと一致する重篤な反応が10,000接種あたり2.47人の割合で発生した。アナフィラキシーを起こしたすべての人は,ショックや気管内挿管を起こすことなく回復した.

 

本研究で確認されたアナフィラキシーの発生率は、アメリカ疾病予防管理センターが受動的自発的報告方法に基づく数(10,000接種あたり0.025~0.11)よりも大きい。しかし、mRNA COVID-19 ワクチンによるアナフィラキシーの全体的なリスクは極めて低く、他の一般的な医療行為とほぼ同等である。臨床的にアナフィラキシーと一致する症例があったが、これらの反応のメカニズムは不明である。

 

アナフィラキシーを起こしたワクチン接種者のほとんどにアレルギー歴があり、31%が過去にアナフィラキシーを起こしていた。しかし、成人の約5%に重度の食物アレルギー歴があり、成人の約1%に重度の薬物アレルギー歴があることを考えると、このMGB職員のコホートには重度の食物または薬物アレルギー歴のある人が約4000人含まれ、その人たちは安全にワクチンを接種できたと考えられる。

(以下略)

 

文責:院長 石本 修 (呼吸器専門医)

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