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糖尿病薬セマグルチド(オゼンピック®)が、やせ薬として使える日は来るのか(NEJM誌より報告)

[2021.03.07]

 

生活習慣の改善(食事療法と運動療法)は最も大事ですが、多くの人が減量後にリバウンドをするため体重をキープするのは困難です。 特に、BMI(体重kg/身長mの二乗)が30以上、すでに病気をもっている人はBMIが27以上の場合、食事運動療法に加え補助的薬物療法の研究対象となっています。(身長170cmの人であれば体重86.7kg、身長160cmであれば体重76.8kgがBMI=30に相当します。)

 

GLP-1受容体作動薬という2型糖尿病の治療に使われる薬があります。GLP-1はもともと体内に存在するホルモンの一つであり、食後に血糖値が上昇すると、膵臓に働いてインスリン分泌を促す作用をもっています。GLP-1受容体作動薬は体内のGLP-1と似た構造をもち、薬として投与することでGLP-1と同じ作用をし、血糖値を下げる効果があります。さらに、この薬には血糖調節作用だけではなく、食欲を抑制したり、満腹感を感じやすくすることで食事量を減らす効果もあることが確認されています。(日本では体重減少目的としてまだ保険承認されていません。)

 

セマグルチド(オゼンピック®)はGLP-1受容体作動薬の一つであり、週1回皮下投与される注射薬です(リベルサス®という内服薬も最近発売されました)。

今回紹介する論文では、セマグルチドを肥満の人に投与すると、プラセボ(偽薬)と比較して、どれぐらいの体重減少効果をもつのか、有害事象はなにがあるのか、第3相試験の結果を報告しています。

 

糖尿病がない肥満の成人に対し、食事運動療法を行うとともにセマグルチドを補助的に投与することで、治療前と比べ平均14.9%の体重減少を認め、 プラセボ+食事運動療法と比べ12.4%ポイントの改善でした。臨床的に意味のある5%以上の体重減少は、プラセボを投与された参加者の32%、セマグルチドを投与された参加者の86%で認められました。これは、既存の抗肥満薬より高い治療効果であり、期待できる結果した。有害事象は悪心や下痢など胃腸障害が多く、重篤な有害事象はセマグルチド群で9.8%、プラセボ群で6.4%でした。

 

この薬は日本でも糖尿病に対しすでに使用されています。しかし、肥満にはまだ使用できません。日本では肥満を病気だと考える風潮にはなく、保険診療としてセマグルチニドが使える日は遠い未来ではないかと思います(私見)。

 

Once-Weekly Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity
過体重または肥満の成人における週1回のセマグルチド(オゼンピック®)

 

February 10, 2021
DOI: 10.1056/NEJMoa2032183

概要


背景

肥満は世界中で健康問題であり、薬物治療の選択肢がほとんどない。生活習慣改善の補助として、週1回のセマグルチド2.4mgにより、肥満成人が体重減少を達成できるかどうかは確認されていない。

方法

この二重盲検試験では、体格指数BMI(=体重kg÷身長(m)の2乗)が30以上(体重に関連する合併症が一つ以上ある人では27以上)の糖尿病のない成人1,961人が登録され 、セマグルチド(2.4 mg)もしくはプラセボを週1回皮下注による68週間の治療および生活習慣改善の介入、2:1の比率でランダムに割り当てられた。 主要評価項目は、体重の変化率と5%以上の体重減少であった。 一次推定値(臨床試験の目的を反映した治療効果の正確な説明)は、治療中止または介入の追加に関係なく、効果を評価した。

結果

ベースラインから68週まで体重変化の平均は、セマグルチド群で−14.9%であったのに対し、プラセボでは−2.4%であり、推定治療差は−12.4%ポイント(95%信頼区間[CI]、−13.4〜 −11.5; P <0.001)。68週目でプラセボ群よりもセマグルチド群の方が、5%以上(1,047人[86.4%]対182人 [31.5%])、10%以上(838人 [69.1%]対69人 [12.0%])、および15%以上(612人 [50.5%]対28人 [4.9%])の体重減少を達成した参加者が多かった(オッズの3つの比較すべてでP <0.001)。ベースラインから68週までの体重の変化は、プラセボ群の−2.6 kgと比較して、セマグルチド群では−15.3 kgであった(推定治療差、−12.7 kg; 95%CI、-13.7から-11.7)。セマグルチドを投与された参加者はプラセボを投与された参加者よりも、心血管代謝の危険因子に関して大幅な改善が見られ、参加者の報告する身体機能がベースラインから大幅に増加した。悪心および下痢は、セマグルチドの最もよくみられた有害事象であった;それらは通常一過性で、軽症から中等症であり、時間とともに治まった。プラセボ群よりもセマグルチド群の方が胃腸事象のために治療を中止した参加者が多かった(59人 [4.5%]対5人 [0.8%])。

結論

過体重または肥満の参加者では、週1回のセマグルチド2.4 mgと生活習慣改善の介入が、持続的で臨床的に意味のある体重減少と関連していた。 (NovoNordiskが資金提供。STEP1 ClinicalTrials.gov番号、NCT03548935。

文責:院長 石本 修 (呼吸器専門医)

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