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偶発的に見つかった肺結節の診断をするために、検査を徹底的にしてもしなくても、その結果は同じなのか?(JAMA誌からの報告)

[2021.02.21]

 

「そんなに検査は受けなくてもいいんですよ」と医師に説明されたとしても、検査を多数してもらえる他の病院を探したくなる方もいるかもしれません。

 

でも、多数の検査を受けても、必要最小限の検査を受けても、結果は変わらないとしたら、どうでしょうか。検査を受ければ受けるほど、費用はかかるし、放射線被ばく量は増えるし、検査にともなう合併症も増えます。安心料だったとして割り切ることはできるでしょうか。

 

今回紹介する論文は、後ろ向き研究であり、結論を出すほどエビデンスレベルが高くない研究です。しかしながら、前向きの無作為化比較研究の実施が困難な領域であり(検査をする群と検査をしない群で、肺がん進行度に違いがでるかという研究は患者さんの同意が得られにくい)、これ以上のエビデンスを出すのは困難だと思います。

 

今回の研究では、肺結節が見つかって、徹底的に検査してもしなくても、2年後に判明していた肺癌の病期(ステージ)に有意差がなかったという結果を示しました。

徹底的に検査すれば肺癌を早く見つけることができるかもしれませんが、検査しなくても2年以内に同じような肺癌をみつけることができるということです。

 

肺結節を持つ人すべてに徹底的な検査をすることはお勧めできません。しかし、どのような肺結節(結節の性状)であれば、手術を含めて徹底的に検査をするのか、経過観察でよいのか、経過観察も要らないのか、昔から悩ましい問題であり今後の課題です(もしかすると永遠の課題かもしれません)。

 

Original Investigation

Association of the Intensity of Diagnostic Evaluation With Outcomes in Incidentally Detected Lung Nodules

偶発的に見つかった肺結節では、診断的検査の徹底度と転帰は関連するのか

 

JAMA Intern Med. Published online January 19, 2021. 

doi:10.1001/jamainternmed.2020.8250

 

キーポイント

質問 

偶発的に見つかった肺結節の診断的検査の徹底度は、患者の転帰と医療費に関連しているか?

調査結果

   この比較有効性調査研究では偶発的に肺結節が検出された5,057人を対象として、検査の徹底度と肺がん病期分布が関連するという決定的な証拠はなかった。 ガイドラインに準拠した評価法と比較して、徹底度の低い評価法は放射線被曝が少なく、検査関連の有害事象が少なく、医療費が少なかった。一方、徹底度の高い検査は放射線被曝が多く、検査関連の有害事象が多く、医療費が多かった。 

意義 

この研究結果は、現在のガイドラインの推奨事項を裏付けるエビデンスのレベルを上げる必要性、肺結節に対する不必要に高い強度の診断検査を減らす必要性を強調する。

 

概要

重要性

肺結節に対する、ガイドライン準拠の検査方法がより良い結果につながるかどうかは不明である。

目的

肺結節の診断検査の徹底度と結果、安全性、および医療費との関連を調べること。

デザインと設定、参加者

この比較有効性調査研究では、ワシントン州シアトルのカイザーパーマネンテワシントンとウィスコンシン州マーシュフィールドのマーシュフィールドクリニックにおいて、2005年1月1日から2015年12月31日までの間に偶発的に肺結節が検出された健康保険加入者を解析した。 35歳以上、感染症の疑いが高くなく、悪性新生物の病歴がなく、結節が見つかった時点で進行期肺癌の所見がない患者が含まれた。 データ解析は2020年1月7日から8月19日まで実施された。

曝露(介入)

2005年フライシュナー協会ガイドライン(調査期間中に適用性があるために選択された)を比較対照として、他の2つの徹底度の肺結節評価法が定義された。 ガイドラインに準拠した評価はガイドラインに従った。 それほど徹底度の高くない評価法は、推奨される検査がないこと、推奨されるよりも長い監視間隔、または推奨されるよりも侵襲性の低い検査であった。 より徹底度の高い評価法は、ガイドラインがそれ以上の検査を推奨しない場合の検査、推奨よりも短いサーベイランス間隔、または推奨よりも侵襲的な検査で構成された。

主な結果と対策

主な結果は、肺結節の検出から2年後に、ステージIIIまたはIVの肺癌患者の割合、放射線被曝、手技関連の有害事象、および医療費であった。

結果

この比較有効性調査研究に含まれる5,057人のうち、1,925人(38%)はガイドラインに準拠した評価法、1,863人(37%)は低徹底度の評価法、1,269人(25%)はより徹底度の高い評価法を受けた。 コホート全体では、2,786人が女性(55%)、平均年齢(SD)は67(13)歳であった。調整された解析では、ガイドラインに準拠した評価法と比較して、低徹底度の評価法は手技関連有害事象が少なく(リスク差[RD]、−5.9%; 95%CI、−7.2%〜−4.6%)、平均放射線被爆量が少なく(−9.5ミリシーベルト[mSv]; 95%CI、−10.3mSvから−8.7mSv)、平均医療費が少なく(−$ 10,916; 95%CI、−$ 16,112〜−$ 5,719); 肺がんと診断された患者の中でステージIIIまたはIVであった割合に差は見られなかった(RD、4.6%; 95%CI、-22%から+ 31%)。より徹底度の高い評価法は、手技関連の有害事象が多く(RD、+ 8.1%; 95%CI、+ 5.6%〜+ 11%)、平均放射線被曝量が多く(+ 6.8 mSv; 95%CI、+ 5.8mSv〜+ 7.8 mSv)、平均医療費が多く($ 20,132; 95%CI、+ $ 14,398〜+ $ 25,868); III期またはIV期の割合に差は認めなかった(RD、−0.5%; 95%CI、−28%〜+27%)。

結論と関連性

本研究では、ガイドラインに準拠した診療と比較して、徹底度の低い評価法が進行期の肺癌診断が多いという決定的な証拠は見つからなかった。 より徹底的な評価法は、手技の合併症、放射線被曝、および医療費の多さと関連していた。 これらの知見により、肺結節評価法をさらに改善するために、そして不必要に徹底的な診断評価法を回避するために、さらに多くの科学的根拠が必要であることが強調される。

 

文責:院長 石本 修 (呼吸器専門医)

肺がんについても言及している拙著「その息切れはCOPDです ―危ない「肺の隠れ慢性疾患」を治す!」はこちらから

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