アレルギー科とは
仙台市若林区でアレルギー科をお探しの方へ
アレルギー科では、アレルギーによって引き起こされる疾患(アレルギー性疾患)を診療します。
当院では、主に以下の疾患について診療しています。
- 気管支喘息
- アレルギー性鼻炎
- 花粉症
など
現代人を悩ませるアレルギー関連の疾患に対して、ぜひご相談ください。
アレルギーとは?
私たちの体には、「免疫」というシステムがもともと備わっています。免疫があることで、体外から体内に侵入してくる細菌やウイルスなどの異物を攻撃して排除し、体を異物から守ることができます。しかし、このシステムは完璧ではありません。
私たちの体にとって無害であるはずの食べ物や花粉などに対しても、免疫が過剰に反応してしまうことがあります。これがアレルギー反応です。そして、そのようなアレルギーを引き起こしてしまう異物を、特に「アレルゲン」と呼んでいます。
アレルゲンには、食物、薬物、室内のゴミやホコリ、ダニ、花粉、ペットの毛、カビ、昆虫、ハチ毒、天然ゴムなど、多種多様なものがあります。
アレルゲンが体内に入ると、皮膚や粘膜のすぐ下にいる抗原提示細胞という細胞がそれを食して、異物だと認識します。抗原提示細胞は、アレルゲンの情報をリンパ球に伝えます。リンパ球が進化した形質細胞により、アレルゲンの形に合った特異的なIgE抗体が産生されるようになります。
アレルゲンの種類によって、引き起こされるアレルギー症状はさまざまです。アレルギーはⅠ型からⅣ型までの4種類に分けられますが、そのうちのⅠ型アレルギーではIgE抗体が重要な役割を果たします。アレルギー性鼻炎、花粉症、ぜん息、じんましんはⅠ型に分類されます。
アレルゲンを避けることの重要性
アレルギーを治療する際に重要なアプローチの1つは、原因となるアレルゲンを避けることです。
アレルゲンを特定するためには、情報収集と検査が欠かせません。アレルギーの種類や生活環境、食生活、年齢などによって、アレルゲンの種類が異なります。
例えば、乳幼児期では主に食物が原因となりますが、成長するにつれてダニや花粉、ペットの毛、カビ、職業上で接触する物質などがアレルゲンとなり得ます。血液検査などでアレルゲンを特定できれば、そのアレルゲンを避けるようにします。
食物アレルゲンの場合は、症状が出ないように原因となる食品を摂取しないようにします。乳幼児期にタマゴ、牛乳、小麦などに対するアレルギーがあっても、比較的早い時期に耐性が獲得され、その食品を避ける必要がなくなることがよくあります。
居住環境に生息するダニは、主に絨毯や布団、布製のソファ、ぬいぐるみなどに多く見られます。そのため、掃除や材質などを工夫してダニの数を減らすことが重要です。一方、スギなどの花粉は外出時にはマスクや眼鏡を着用し、室内に花粉を持ち込まないように気をつけることが大切です。
症状を誘発しないようにアレルゲンを回避することは重要ですが、アレルゲン免疫療法(以前は減感作療法と呼ばれました)と呼ばれる治療法もあります。この治療法では、特定された原因アレルゲンを低濃度から計画的に注射、内服、または舌下で投与していきます。
舌下によるアレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法を行うことにより、花粉症やアレルギー性鼻炎の根本的な治療が可能です。
当院では舌下によるアレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)を行っており、スギ花粉症に対するシダキュア、ダニアレルギー性鼻炎に対するミティキュアの処方が可能です。
※ 薬の入手が困難なため、治療を開始できないことがあります。
舌下免疫療法により、アレルギー症状そのものを軽減できるため、現在服用中のアレルギーを抑える薬(抗ヒスタミン薬など)が不要になる可能性があります。
詳細については、舌下免疫療法のページをご覧ください。
当クリニックで実施できるアレルギー検査
アレルギーの検査
アレルギーの原因を特定するための検査には、IgE抗体検査や皮膚テストなどがあります。当院では、各アレルゲンに対するIgE抗体値を調べることが可能です(結果判明までに数日かかります)。特定のアレルゲンに反応するかどうかを知ることで、それらを回避し、適切な治療につなげることができます。
IgE抗体の検査
血液検査では、IgE抗体の総量を示す総IgE抗体値(非特異的IgE)と、特定のアレルゲンに対するIgE抗体を測定することができます。現在、200種類以上のアレルゲンに対する特異的IgE抗体を測定することが可能です。ただし、健康保険の範囲内で測定できるアレルゲン数には限度があり、測定方法によって異なります。どのアレルゲンを測定するかは、患者さんとの相談の上で選択していきます。
IgE抗体の量は、通常、クラス0から6までの7段階で評価されます。クラスが高いほど、そのIgE抗体の量が多いことを示しますが、必ずしもアレルギー症状が強いとは限りません。特に、特異的IgE抗体がある食べ物に対して高くても、すでに体がその食べ物に慣れている場合は、アレルギー症状が出ないこともあります。
IgE抗体とは
アレルゲンに感作された免疫細胞は、IgE抗体を産生します。産生されたIgE抗体は、肥満細胞(マスト細胞)という細胞の表面に結合し、アレルゲンが再び侵入してくるのを待ちます。肥満細胞内には、ヒスタミンやロイコトリエンなどの物質が多く保有されています。
アレルゲンが再度侵入すると、肥満細胞の表面のIgE抗体がアレルゲンに結合します。すると、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンが放出されて、アレルギー症状が引き起こされます。これをⅠ型(即時型)アレルギーと呼びます。
花粉症、気管支喘息、食物アレルギー、ハチによるアナフィラキシーなどがⅠ型アレルギーの代表的な疾患です。卵白にアレルギーがある人は、卵白に対する特異的IgE抗体を、ダニアレルギーがある人はダニに対する特異的IgE抗体を持っている可能性が高いです。これらのIgE抗体を持っているかどうかは、血液検査で調べることができます。
主なアレルギー疾患とその治療法
気管支ぜん息
気管支ぜん息や咳ぜん息は慢性の疾患であり、症状が一定ではなく変動する特徴があります。これらの疾患では、呼吸が突然困難になる発作、喘鳴(ゼーゼーとした呼吸音)、せき、胸苦しさなどが典型的な症状です。
症状がない期間と症状がある期間が繰り返される傾向があります。また、特定の季節や、一日の中でも夜間や早朝に、症状が出現する傾向があります。
運動や風邪、アレルゲンの吸入、気象の変化、ストレス、月経などが症状の誘因となることもあります。診断において重要なのは、他の心肺疾患を除外することです。気管支結核や心不全などでも、喘鳴やせきが生じるため、ぜん息との鑑別が困難な場合があります。
ぜん息の発作時には、気管支拡張薬の吸入やステロイド薬の内服や点滴が使用されます。気管支の粘膜炎症が主要な病態であり、疾患の初期段階から吸入ステロイド薬による抗炎症治療が重要です。呼吸機能をできるだけ正常に保ち、生活の質を向上させ、健康な人と同じような日常生活を送ることが治療の目標です。
アナフィラキシー
アナフィラキシーは、ペニシリンなどの薬物の投与やアレルゲンによって引き起こされることがあります。この状態では全身にアレルギー反応が起こり、重篤な症状が現れる危険性があります。
典型的な症状には、じんましんの他、血圧低下、呼吸困難、意識障害などが挙げられます。これらの症状が出現すると、救急車による搬送が必要となる場合があります。
アレルギー性鼻炎
樹木花粉、雑草花粉、ダニ、ハウスダスト、カビなどが主なアレルゲンとなります。鼻の粘膜、のどの粘膜、目の粘膜においてⅠ型アレルギー反応がおこり、水のような鼻水、くしゃみ、鼻づまり、喉や目のかゆみ、涙となって発症します。特に、スギ花粉によるアレルギー性鼻炎を花粉症、ダニによるアレルギー性鼻炎を通年性アレルギー性鼻炎と呼んでいます。
樹木花粉、雑草花粉、ダニ、ハウスダスト、カビなどが主なアレルゲンとなります。これらのアレルゲンが、鼻の粘膜、のどの粘膜、目の粘膜でⅠ型アレルギー反応を引き起こします。その結果、水のような鼻水、くしゃみ、鼻づまり、喉や目のかゆみ、涙などの症状が出現します。特に、スギ花粉によるアレルギー性鼻炎は「スギ花粉症」、ダニによるアレルギー性鼻炎は「通年性アレルギー性鼻炎」と呼ばれます。
アレルギー性鼻炎の治療
治療には、抗ヒスタミン薬の内服、点鼻、点眼、そしてステロイド薬の点鼻が広く使用されています。特に、スギ花粉やダニに対しては、舌下によるアレルゲン免疫療法(従来の減感作療法)が利用可能になりました。
アトピー性皮膚炎
かゆみを伴う皮膚の炎症(湿疹)が主な病変であり、よくなったり悪化したりを繰り返す慢性の病気です。多くの患者さんはアレルゲン特異的なIgE抗体を持ち、他のアレルギー疾患である鼻炎や喘息などを合併しています。
皮膚の生理学的な異常(皮膚の乾燥やバリアー機能の異常)が根本にあり、そこからさまざまな刺激やアレルゲンの侵入によって症状が引き起こされると考えられています。
湿疹は左右対称性の分布を示し、年齢によって好発部位が異なります。適切な治療を受ければ、湿疹の状態を適切に管理できることが期待されます。
アトピー性皮膚炎の治療
アトピー性皮膚炎の治療としては、ステロイド外用薬が最も有効です。炎症を充分に抑えることができ、その有効性と安全性が確認されています。ただ、長期間の使用は避けるようにします。タクロリムス(プロトピック®)軟膏は顔の皮疹に対してステロイド外用薬のミディアムクラス以上の有用性があります。顔に好んで使用されますが、その他の部位にも使えます。
※当院ではアトピー性皮膚炎の治療は行っておりません。皮膚科受診をお勧めしています。